YouTube : https://youtu.be/HJfr0qiuDjY
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小さなころ、毎週火曜日になると僕の家にはある漫画雑誌が届いていた。
その雑誌は分厚すぎて、小さな僕にはとても読むことができなかった。
10歳のとき、おそるおそる物置に入って、その雑誌をはじめてめくった。
そこには角のはえた恐竜のような化け物が緑色の心やさしい人たちをいじめていた。
なんだこいつ…
小さな僕はほっぺたのあたりがぶるぶるふるえた。
首をへしおったり、尻尾でからみつけたりする恐ろしい化け物だった。
自分の命もかえりみず、緑色のかよわい人たちを必死に助けようとするやさしい二人の子どもたちがいた。
小さかった化け物は変身して、さらに恐ろしい本当のかいぶつになった。
僕はその二人と一緒にたたかってるつもりでむさぼるようにその雑誌を読んだ。
僕は火曜日が待ち遠しくてたまらなくなった。
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ほんとならこの世界に自分も入って一緒にたたかいたい。ぼくの力でこの化け物をやっつけて助けてあげたい。
でもそんなことしたら僕なんて一瞬で殺されてしまうだろう。
だってまだ、修行なんてしたことない。
「おねがい、だれかこの人たちを助けてあげて」
その子のお父さんが遠い地球からその星にやってきて、
「もう大丈夫だぞ」といってくれた。
「え?でも一緒にたたかわなきゃ。あいつらすごく強いんだよ。」
「大丈夫だ、ゆっくり休んでてくれ」
そういって、強敵たちを次々とたおしていった。
僕はそこに父の姿をかさねた。
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僕はその話を最初から読みたくなって、毎日母親から400円ほどのお金をもらってその本を買いに走った。
どの書店にいっても、どうしても22巻だけがみつからなかった。
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今は強くてかっこいいお父さんにも、僕らとおなじように小さな子ども時代があったらしい。
なくなったおじいちゃん以外で、彼がはじめて出会った人間は好奇心旺盛な女の子だった。
あとでわかったのだが、その子は美人で財閥のご令嬢らしい。
最初のなにげないたった一人との出会いが、彼のその後の冒険とすばらしい世界につながっていった。
彼はいつもやさしかった。僕にはそんなやさしさはないから余計に憧れた。
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昔こんなことをおしえてくれた先生がいる。
「片山、女は好きか!」
「いえ」
「余計な見栄やプライドをすてて、自分の欲求に素直になれぇ、片山ぁぁ!」
「はい!」
「片山、女は好きか!」
「はい!」
「片山、女は好きか!」
「はい、女は好きです!!」
「そうだぁぁ!」
「はいっ!」
これまでの長い人生のなかでも、たった5本の指に入る素晴らしい教えだったと思う。
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けれどそのかっこいい彼は僕とはちがった。
「自分より強いやつに出会いたい。闘ってみたい。」
彼がもっていた欲はただそれだけで、あとは何も求めなかった。
そんな彼にもだんだん守るべき家族や仲間ができた。
出会った人がみんな彼の強さとやさしさに魅了された。
わるいやつと戦ったときですら、彼は最後はやさしかった。
争った相手でさえも救おうとし、のちにはみんな彼の仲間になっていった。
登場人物の誰一人として、むげにあつかわれた人はいない。
大人になったときにはみんなが親友であり、家族のようになっていた。
自分は性格がわるかったからか、引きこもっていたからか、出会った人とも疎遠になってしまって残念に思っている。
人とけんかしてしまったことも多い。
だから僕はもう一度、出会った人とみんな親友になるつもりでこれから生きていきたい。
こんな気持ちになれたのも、きっかけをくれた人や応援してくれる仲間、そしていつかこれを読んでくれているあなたのおかげなのでとても感謝している。
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僕が今からさがしていく7つのボールのうち、その1つはすでにもっていたらしい。それは死んでしまったおじいちゃんやおばあちゃん、両親や家族、そして今まで出会った友人たちが残してくれたものだ。
7つ集めたら、どんな願いを叶えてもらおう。
「ギャルの!!」
「…」
そんなことを頼むわけにはいかない。
もしも僕がそのときにもっと大人になれていたら、自分の願いではなくみんなの願いを叶えてもらいたいものだ。
彼にあこがれてわくわくしながら、この素敵な冒険をはじめてみよう。
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